【航大のリアル】航空大学校の訓練が遅れる本当の理由5選

航空大学校

今回は、独立行政法人航空大学校(航大)における「訓練の遅延」について、航大の学生ならではエピソードを交えながら、

なぜこんなにも予定通りに進まないのか?
合格から卒業までに5年以上かかってるってどういうこと?

などに関して、個人的な考察を含めてまとめてみたいと思います

  • これから航大の訓練を控えているけど、訓練の現状は?
  • 航大の受験を考えているけど、卒業まで4年もかかるってホント!?
  • 周りに待期期間の学生がいるけど、どういう事情なの?
    ⇒ホントは単純にニートなんじゃないの?
  • コロナ前に航大を卒業したけど、なんで今はこんなに訓練に時間がかかっているの?

そんな疑問を持った方は、ぜひ読んでください

なお、こちらの記事は一部我々航大生の推測も含まれております
航空大学校を批判するというよりは、この現状を一人でも多くの方に知っていただき、解決の糸口が掴めることを願って執筆させていただきました
この記事を書いた10年後には「待期期間」という言葉がなくなっていることを祈ります・・・


【理由①】 天候不順(言い訳じゃなくマジで飛べない)

まず大前提として、天気が悪いと飛行機は飛べません

特に宮崎・帯広のような初期の訓練では、雲に入ることはもちろん、雲に近づくことさえ許されていません!
また、10数年前の航空大学校の事故(以下の報告書参照)を教訓に、近年雲との距離の制限がさらに厳しくなったようです

航 空 事 故 調 査 報 告 書(山腹への衝突)
独立行政法人航空大学校帯広分校所属
ビーチクラフト式A36型 JA4215
https://jtsb.mlit.go.jp/aircraft/rep-acci/AA2013-9-1-JA4215.pdf

一番最初の訓練地の帯広だと下の様な天候でも飛べないんです😢

それに加え、地球温暖化の影響もあるのでしょうか
以下の様な現象も天候悪化の一因となっています

  • 夏の帯広 → 海からの霧(海霧)が流入
  • 冬の帯広 → 例年は降らない雪により空港がクローズ
  • 春秋の季節の変わり目 → 低気圧&前線で全滅

これらが重なって、1週間丸々飛べないこともザラです。
例えば、帯広の8月のフライトタイムは5時間未満の回期もあったようです(海霧の影響)
(飛べる月は、15時間程度であることを考えると天候悪化は大打撃・・・)
8月は体育館でスポーツ三昧の日々でしたね~😢


【理由②】 機材トラブル

月に一回は1機程度が不具合が発生し、飛べない状態になることが多いです
(これは整備不良というわけではなく、、、飛行機という複雑な機械を扱っている以上、防ぎようのないことではあります。)
(常日頃、入念に整備していただいている整備の方々、本当にありがとうございます。)

恐らく老朽化の影響もあるのでしょうか
我々の訓練は、特に初期課程は着陸の訓練をメインに実施します
通常のフライトをする想定で設計されている飛行機からしたら、そもそも、こんなに離着陸をする想定で機体を作っていないでしょうから不具合が発生するのは尚更やむを得ないですね涙
よって、老朽化のスピードも速まるのでしょう💦

※初期課程は特に離着陸の訓練を多く実施するため、遊覧飛行に使う機体や旅客機よりも離着陸回数が多いのは間違いないはずです・・・

定期的に整備入り使用停止という流れが発生
訓練機が足りない⇒1人あたりのフライト機会が減る
のは当然の結果です

1機あたり2億円以上する機体を購入することもなかなか難しいでしょうからね。。。
現在、機体購入に向け動いてくださっているニュースも拝見しました


【理由③】 「追加訓練を実施する学生」の増加(訓練が滞る)

最近は、追加訓練を実施する学生が増えているという話もあります
実は各課程には、進捗が遅い学生のために、通常の訓練時間に加えて訓練を受けることができるシステム(追加訓練)があります
審査を受ける前などに、操縦の完成度を上げたいという思惑で追加訓練を実施するケースもありますね

追加訓練を実施する場合は、同じ機材・教官・時間を使って訓練するため、
後ろの代の学生の訓練スケジュールが圧迫されます

例え追加であっても、訓練できる時間が与えられているのであれば、
追加訓練時間を与えてあげたいという教官のご配慮もあると思います
また、同じレベルのパイロットを養成するという前提がある以上、パイロットの能力に対する妥協もできない以上難しい問題ですね

自分もいつ追加訓練時間を頂いて、その時間に救われて審査を突破できるみたいなことになるかもわからないので、一概に否定はできないシステムです


【理由④】 学生の増員(定員を増やしすぎた?)

航空業界の人手不足を背景に、ここ数年で学生の定員が1.5倍に増加しました

以前は1学年72人でしたが、最近は108名です
(正確に言うと、直近の入学者は108名ではないようです!!!
詳細は下のブログを読んでみてください)

しかし、設備や教官の数はすぐには増やせないため、

「学生は増えたけど、飛ばせない」

という状況に。。。
これにより、訓練待ちの渋滞が発生しているのです


【理由⑤】 増員時の検討不足(予測が甘かった!?)

そもそも、定員を増やす前に

  • 訓練スケジュールの再設計
  • 機材増加
  • 教官の確保
  • 寮の拡張

が必要でしたが、これらが重なり、
計画の見通しが甘かったのでは?
と訓練生ながらに感じる部分も多々あります


✅ 解決策

在校生なりに、解決策を考えてみました
もちろん、実行力は全くありません笑

  • 宮崎のシラバスを一部、帯広の課程へ移す(現状、宮崎フライト課程が最も進捗が遅れております。宮崎フライト課程前の待期期間は約1年数か月!!)
  • 定員を72名に一時的に減らす(航空局との兼ね合いもあり、簡単には定員を減らせないのでしょう)
    ⇒待期期間が解消されたのち、定員を戻す
  • 1年間は入学試験を取りやめる
    ⇒年齢制限の上限年齢は一時的に1年繰り上げる

下2つの案は、受験生にとっては強行されたらたまったものではないとは確かに思います
ですが、本来2年で卒業できる学校が入学から卒業までに4年間要している現状を静観してよいのでしょうか・・・

  • 「学生」という立場なので、基本的には正社員として勤務できない
    ⇒本来22歳~という年齢は、キャリアを積むために重要な時期のはずです
    ⇒多くの在校生が、アルバイトで日銭を稼ぐ日々を過ごしている
  • 日本の経済界から見ても、(航大に合格する能力があれば)本来正社員として活躍していたはずの年代の人材が、アルバイトにとどまり日本のGDPの損失を招いている
    ⇒年収1000万円弱稼ぐ同期もいたぐらいです
  • 結婚を考えていた学生は、卒業後結婚するとなると2年間も婚期が遅れる
    (全寮制という性質上、結婚する人はほとんどいません)
    ⇒女性側の出産適齢期を逃す可能性あり
    ⇒日本の少子化にも影響があるのでは

少しオーバーに書いてしまいましたが、本来2年の学生期間が倍の4年間に伸びている現状を考えると、
学校全体で216名の学生が訓練を待っており、日本の社会にも影響を与えている(ひと学年108名×2学年の学生が待機)といっても過言ではないかもしれません


✈ まとめ:訓練の遅延には「複合的な理由」がある

航大の訓練が遅れている理由は、単に天気や機材のせいだけではなく、

  • 人数増によるシステム崩壊
  • 追加訓練を受ける学生の増加
  • 組織的な見通しの甘さ

といった、「構造的な課題」が背景にある可能性があります

これから航大を目指す方は、「予定通り進まないかもしれない」という覚悟をもって臨んだ方が、精神的にも楽かもしれません
これだけのデメリットをみると、私立大学の操縦科へ進学することも選択肢の一つに挙がるかもしれません
一人でも多くの学生が、この事実を知り、進路を考え直すきっかけになれば嬉しいです


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